2015年4月2日木曜日

PEEP反応性とARDSの予後

Oxygenation response to positive endexpiratory pressure predicts mortality in acute respiratory distress syndrome. A secondary analysis of the LOVS and EXPRESS trials. 
Goligher EC, Kavanagh BP, Rubenfeld GD, Adhikari NK, Pinto R, Fan E, Brochard LJ, Granton JT, Mercat A, Marie Richard JC, Chretien JM, Jones GL, Cook DJ, Stewart TE, Slutsky AS, Meade MO, Ferguson ND
Am J Respir Crit Care Med. 2014: 190:70–76

✔ 背景
 ARDSに対して一回換気量を減らす換気戦略は有用であることが示されているが、高PEEPが有用であるかどうかを検討した研究では優位性を示す事ができていない(ALVEOLI、EXPRESS、LOVS)。これらの研究からは、中等度~重度ARDSで高PEEPを行うと予後が改善する傾向があることが分かっているが、最善のPEEP値を決定する手段については議論が残っている。ARDS肺の状態は様々であり、PEEP付与に対する反応性の違いから予後を予測できるかもしれない。
✔ 方法
 LOVS研究(n = 983)の二次解析し、初期のPEEP付与に対する反応と死亡率との関係を調査した。さらに、ここで得られた結果をEXPRESS研究の高PEEP群(n = 749)で検証した。
✔ 結果
 初期PEEPによる酸素化の変化は様々(中央値 9.5mmHg; -16~47mmHg)であり、付与前のP/FやPEEPの変化率とは弱い相関関係しかなかった。無作為化によってPEEPを上昇させた群でみてみると、P/Fが上昇すればするほど死亡率が有意に減ることが分かった(OR 0.8/25mmHg)。この傾向はもともとの酸素化が悪い(P/F≦150)ほど強く認められた。コンプライアンスや死腔の変化は死亡率と関係が無かった。これらの知見はEXPRESSのデータでも検証され、同様の傾向が確認された。
✔ 結論
 PEEP付与によって酸素化が改善する場合は予後が良い。PEEPに対する反応性の有無で高PEEPの恩恵が受けられるかどうかを判定できるかもしれない。
無作為化後にPEEPを上昇させた群(⊿PEEP>0)では酸素化が改善するほどと死亡率が低下する(文献より引用)

◎ 私見
 リクルートできる肺胞があるかどうかでPEEPの臨床的意義が変わる、と読み替えられるだろうか。画像所見との関係もみてみたいところ。

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