2015年4月11日土曜日

フェンタニル・ケタミン・ロクロニウムを用いたRSI

Significant modification of traditional rapid sequence induction improves safety and effectiveness of pre-hospital trauma anaesthesia
✔ 背景
 迅速導入(RSI)は外傷患者の緊急気管挿管で推奨される手技である。救急の現場ではシンプルで標準化されたRSIプロトコルが安全性と手技の成功率を改善すると考えられる。RSIに使用する薬剤は重要である。本研究ではエトミデートとスキサメトニウムを用いた従来のRSIと、フェンタニル、ケタミン、ロクロニウムを使用したRSIの安全性と有効性を比較することを目的としている。
✔ 方法
 病院前でドクターヘリの医療者によるRSIを要した重症外傷患者を対象としたコホート研究。研究のため、病院前で筋弛緩薬(スキサメトニウムやロクロニウム)を使用した気管挿管全てをRSIと定義した。RSIの適応は現場で個々に判断された。使用する薬剤と非侵襲的モニタ(心電図、血圧、酸素飽和度、カプノメータ)を準備し、最低3分間の前酸素化を行った。エトミデート(0.3mg/kg)とスキサメトニウム(1.5mg/kg)を使用したES群と、フェンタニル(3mcg/kg)、ケタミン(2mg/kg)、ロクロニウム(1mg/kg)を使用したFKR群を比較した(3:2:1レジメという)。血行動態が不安定な患者ではエトミデート(0.15mg/kg)、フェンタニル(1mcg/kg)、ケタミン(1mg/kg)に減量した(1:1:1レジメ)。薬剤以外の手技は同等とした。アウトカムは喉頭鏡視野、挿管成功率、喉頭展開や気管挿管に対する血行動態変化、死亡率とした。
✔ 結果
 ES群(116名)に比し、FKR群(145名)では喉頭鏡視野と初回挿管成功率が有意に高かった(95% vs 100%)。喉頭展開や気管挿管に対する高血圧反応はFKR群で有意に低かった(79% vs 37%)。低血圧は両群で少なかった(1% vs 6%; p = 0.05)。収縮期血圧が90未満になったのは両群1例ずつであった。死亡率は両群で変わりなかった。なお、多変量解析によると年齢、GCS、血圧が死亡と有意に関わる因子であった。
✔ 結論
 重症外傷患者に対するフェンタニル、ケタミン、ロクロニウムを用いたRSIは血行動態が安定し有用な方法である。

◎ 私見
 気管挿管の薬剤に関する研究。日本ではエトミデートは使用できないので、比較云々というよりFKRの使い方が参考になる。3:2:1(1:1:1)は覚えやすくて良い。それにしてもケタミンって良い薬だと思うのだけどあまり使われてない気がする。

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