2015年7月1日水曜日

エコーによる心不全とARDSの鑑別

Critical Care Ultrasonography Differentiates ARDS, Pulmonary Edema, and Other Causes in the Early Course of Acute Hypoxemic Respiratory Failure.
Sekiguchi H, Schenck LA, Horie R, Suzuki J, Lee EH, McMenomy BP, Chen TE, Lekah A, Mankad SV, Gajic O.
Chest. 2015 May 21. PMID: 25996139


✔ 背景
 急性低酸素性呼吸不全(Acute hypoxic respiratory failure; AHRF)の病因を早期に把握することは難しい。心エコーと肺エコーを組み合わせた鑑別方法(critical care ultrasonography; CCUS)の精度を評価した。
✔ 方法
 2010年1月から9月までICUに入室したP/F<300の低酸素血症を認める患者を全例対象とした。CCUSは血液ガス分析をしてから6時間以内に施行した。AHRFの原因は心原性肺水腫(CPE)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、その他に分類した。

【CCUS】
・10分以内に検査を終える(10分を超えたら心臓CCUSを中止する)
・胸部CCUS
 片側の胸壁を5つの部位に分けて調査
 1~4:中鎖骨線第二肋間、中鎖骨線第四肋間、中腋窩線第二肋間、中腋窩線第四肋間
  Lung sliding、Lung pulse、Lung point、胸膜線の異常、Aライン、Bライン、
  Cパターン、胸水
 5:後腋窩線横隔膜
  Cパターン、胸水
・心臓CCUS
 肋骨弓下四腔像+IVC、傍胸骨長軸/短軸像、心尖部四腔像
 カラードプラ使用、拡張能を調べるため僧帽弁流入波形と中隔組織ドプラを心尖部から記録
 左室機能、右室サイズと機能、中等度から重度の弁異常、IVC、僧帽弁流入波形、
 中隔組織ドプラ(e'、E/e')
 
【AHRFの病因】
・CCUSの結果を知らされていない2人のReviewerがカルテを後向きに検討して判定
  2人の診断が食い違った場合は3人目が最終診断を行った
  Reviewerは通常のエコー、胸部X線写真、CTを参照することができる
 Reviewerは性別、年齢、P/F比、BNP、トロポニン、乳酸値、白血球数、Creなどを知らされない
・CPEとARDS療法の要素を持つ場合はCPEに分類した
・ARDSはAECC基準を用いて診断した

✔ 結果
 134名が対象となった。44%がCPEで31%がARDS、25%がその他と診断された。CPEやARDSからその他の原因によるAHRFを鑑別するにはBラインが認められた部位の比率が有用であった。ROCのAUCは0.82であった。
 CPEとARDSを鑑別するには、左胸水(>20mm)、中等度~重度の左室壁運動低下、IVC拡大(>23mm)が有用であった。その他の原因を除外したうえで基礎点3点とし、左胸水があれば4点を加算、最小IVC径が23mm以下なら2点を減点、中等度から重度の左室機能不全があれば3点を加算する。3点以下ならARDSに特異的で、6点以上なら肺水腫に特異的であった。
✔ 結論
 CCUSはAHRFの病因を鑑別するのに有用である。

◎ 私見
 時間制限つきのところが面白い。エコーはICUの主力。しっかり勉強しておかないと。

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