2015年8月18日火曜日

溺水蘇生後の小児の神経学的長期予後

Neurocognitive long term follow-up study on drowned children.
Suominen PK, Sutinen N, Valle S, Olkkola KT, Lönnqvist T.
Resuscitation. 2014 Aug;85(8):1059-64. PMID: 24709615


✔ 背景
 溺水で心肺停止となった小児の長期予後についてはほとんど報告が無い。本研究では、溺水に起因する心肺停止蘇生後の小児の神経学的予後を明らかにすることを目的としている。
✔ 方法
 1985年~2007年に溺水から心肺停止となるもCPRによって自己循環が再開し、PICUに入室した40人の患者を対象とした。このうち、21人から神経学的診察の同意を得た。
✔ 結果
 21人の溺水時の年齢の中央値は2.4歳、神経学的評価を受けたときの年齢の中央値は12.5歳であり、溺水から評価までの期間の中央値は8.1年であった。12人(57.1%)の患者に軽度~重度の神経学的機能障害を認めた。8人は全検査IQが80未満であった。全検査IQが正常であった群と低下していた群を比較したところ、水没時間に有意差を認めた(3.5分 vs 12.5分)。
✔ 結論
 57%に神経学的異常を認め、40%にIQの低下を認めた。溺水蘇生後の小児においては長期的な神経学的評価が重要である。
◎ 私見
 水没時間が予後規定因子であった。その他、BEが低かったり血糖が高いのもよくないサインである可能性がある。最初の体温が低いと「脳保護に良いかも」と言う人がいるが、水没時間が長い事を示す悪い徴候かもしれないと指摘しておく。

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