2015年8月7日金曜日

術中の人工呼吸器設定の現状

Current ventilation practice during general anaesthesia: a prospective audit in Melbourne, Australia.
Karalapillai D, Weinberg L, Galtieri J, Glassford N, Eastwood G, Darvall J, Geertsema J, Bangia R, Fitzgerald J, Phan T, OHallaran L, Cocciante A, Watson S, Story D, Bellomo R.

BMC Anesthesiol. 2014 Oct 1;14:85. PMID: 25302048

✔ 背景
低一回換気量とPEEPが全身麻酔中の呼吸器系合併症リスクのある患者で有利であると言われている。
✔ 方法
オーストラリアのメルボルンの8つの教育病院で全身麻酔を施行された患者を対象として術中の一回換気量とPEEPについて調査した。
✔ 結果
272人が対象となった。年齢の中央値は56歳で55%は男性であった。一般手術が31%、整形手術が20%、脳外科手術が9.6%であった。FiO2の中央値は0.6、一回換気量の中央値は500mlで、理想体重当たりの換気量は9.5ml/kgであった。PEEPは54%の患者で使用されており、中央値は5cmH2Oであった。最高気道内圧の中央値は18cmH2Oだった。呼吸器合併症のリスクと考えられる患者における一回換気量は9.8ml/kg、PEEPは64%で使用されており、その値は5cmH2Oだった。多変量解析により、男性、高身長、高体重は一回換気量が大きくなる独立した因子であった。また、三次病院、長時間手術はPEEPの使用を予測する独立した因子であった。
✔ 結論
全身麻酔で人工呼吸管理を受ける患者において、一回換気量は高く、PEEPは使われているものの全員に使用されているわけではなかった。オーストラリアにおける換気戦略の現状は、これまでの無作為化試験の対照群の換気戦略とはかけ離れていた。

◎ 私見
呼吸器の設定についての観察研究はあまり多くない。これは術中に特化したもの。最後の一文が重要。あれこれ臨床研究を持ちだして議論するのは大切だが、自分たちのおかれている現状がいったいどういうものかをしっかり考えておかないと意味が無い。現状把握って、地味でつまらない作業だったりするけど、ちゃんと意味があると思う。

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