2015年9月2日水曜日

経皮的気管切開の手技

Tracheostomy procedures in the intensive care unit: an international survey
Maria Vargas et al
Crit Care 2015:19:291-

✔ 背景
 経皮的気管切開(PDT)はICUで多く行われる手技のひとつである。PDTは重症患者管理において有用であると考えられてはいるが、臨床ガイドラインは存在しない。そこで、国際的サーベイランスによって今日のPDTの実情を明らかにすることにした。
✔ 方法
 ESICMが主導するアンケート調査。2013年5月に行った。
✔ 結果
 59の国から429名の医師が回答した(欧州 73.6%、アジア 15.8%、米国 9.1%、アフリカ 1.0%、オーストラリア 0.5%)。回答者の多くは集中治療医(71.9%)で、次いで麻酔科医(22.4%)であった。市中病院と大学病院はほぼ同率であった(45.6% vs 42.7%)。
 回答者によるPDTの施行回数は総計17,894回であった。Single-step dilation tracheostomy (SSDT)が最多で41.6%、Surgical tracheostomy (ST)は24.1%であった。インフォームドコンセントは61.2%において獲得されていた。
 PDTの多く(74%)は集中治療医によって行われていた。適応で最多であったのは長期人工呼吸(53.7%)で、次いで離脱困難(24.2%)であった。PDT施行時期は7~14日目が最も多かった(54.4%)。PDT施行中の換気モードは従量式が多く(42.3%)、約80%で鎮静薬(Propofol)や鎮痛薬(Fentanyl)、筋弛緩薬(Rb)を組み合わせて投与していた。局所麻酔や64.9%で使用されていた。気管支鏡の併用は、86.9%で挿管中の気管チューブから挿入していたが、より太い気管チューブに入れ替える(6%)、ラリンジアルマスクに入れ替える(6%)などしてから気管支鏡を使用する場合もあった。解剖学的な困難が予想される場合、超音波がおおく併用されていた(68.6%)。合併症で多かったのは圧迫止血可能な出血(31.7%)で、気管チューブ穿孔(20.2%)が続いた。晩期合併症では出血が最多であった(33.1%)。なお、これらの結果には地域差が存在した。
✔ 結論
 かなりの個人差や地域差が存在することが判明した。標準化が必要であることが示唆される。

◎ 私見
 当施設におけるPDTの実情と特に変わりが無い結果だったが、説明が6割にしか行われていないというのがびっくり。患者本人に説明したかどうか、という意味だろうか? まさか家族にも言わずにやってしまうことがあるとは思えないのだけど…

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