2015年9月30日水曜日

プロトコルは患者予後を改善しないかもしれない

Protocols and Hospital Mortality in Critically Ill Patients: The United States Critical Illness and Injury Trials Group Critical Illness Outcomes Study.
Sevransky JE, Checkley W, Herrera P, Pickering BW, Barr J, Brown SM, Chang SY, Chong D, Kaufman D, Fremont RD, Girard TD, Hoag J, Johnson SB, Kerlin MP, Liebler J, O'Brien J, O'Keefe T, Park PK, Pastores SM, Patil N, Pietropaoli AP, Putman M, Rice TW, Rotello L, Siner J, Sajid S, Murphy DJ, Martin GS; United States Critical Illness and Injury Trials Group-Critical IllnessOutcomes Study Investigators.
Crit Care Med. 2015 Oct;43(10):2076-84. PMID: 26110488


✔ 背景
 プロトコルは治療を標準化し、望ましい介入を完遂する手助けになると考えられている。プロトコルの存在が予後を改善しているかどうかを検証した。
✔ 方法
 米国の59施設が参加した観察研究。プライマリアウトカムは院内死亡率とした。
✔ 結果
 57施設、5,454人の重症患者がデータ解析の対象となった。プロトコルの数の中央値は19であった。単変量解析では、プロトコルの存在はICU死亡率、院内死亡率、在院日数、人工呼吸の使用率、昇圧剤や持続鎮静の使用に影響していなかった。多変量解析でも同様の結果であった。呼吸管理に関わるふたつのプロトコル(ARDSに対する低容量換気、SBT)の遵守率はプロトコル採用の多少とは関わりが無かった。
✔ 結論
 プロトコルは多く採用されているが、予後改善には結びついていなかった。

◎ 私見
 19個もプロトコルがあるのが普通なのかと驚いた。あまりにもプロトコルが多すぎて、かえって混乱しそう。
 プロトコルにしろチェックリストにしろ、まず考えなくてはならないのはなぜ導入するのかという動機だろう。必要もないのに導入してもかえって予後が悪くなりそう。必要性を抽出して予想される結果を見積もるには、やはり自施設の現状についてデータベースに基づいてしっかりと解析を加える必要があると思う。次に考えなくてはならないのは、当然ながらどう使うかということだろう。盲目的に従うのでは効果が薄れる。プロトコルやチェックリストの各項目の根拠やそれを目の前の患者さんにどのように適用するのかという細かい調節が重要だと思う。モチベーション(パッション?)とファイン・チューニングが大事で、プロトコルの遵守率など、二の次ではないだろうか。
 これ、プロトコルに限らず、なんにでも当てはまることだと思う。新しい器械、新しい規則、新しい診療部門、新しい病棟、、、
 

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