2020年1月25日土曜日

経頭蓋ドプラの使い方

Robba C, Taccone FS.
Crit Care. 2019 Dec 23;23(1):420. PMID:31870405

1)頭蓋内圧の評価
明らかな適応があれば侵襲的な頭蓋内圧測定法を用いるべきだが、適応がはっきりしないときや侵襲的手段がとり得ないときは経頭蓋ドプラ(Transcranial doppler; TCD)をトリアージとして使用する。Pulsatility index(PI)が増大し、かつ拡張期流速(diastolic FV)が減少した場合は頭蓋内圧が増大している可能性がある。ハイリスク群では1~2時間ごとにTCDを計測する

2)脳死の判断
TCDを副検査として使用する。Reverberating flow、Systolic spikes、Disappearance of previously recorded flow velocityのいずれかのパターンが認められた場合は脳循環停止(Cerebral circulatory arrest; CCA)と判断する

3)自己調節能
Static autoregulatory index(脳血管抵抗=平均血圧÷mean flow velocityが、血圧変化時に何%変化したか)もしくはTransient hyperemic response test(頸動脈を圧迫してSystolic flow velocityが10%以上増加するかどうか)で判定する

4)血管攣縮
くも膜下出血後には毎日1~2回血管攣縮をTCDで評価する。臨床的に血管攣縮を疑う神経所見があり、かつ中大脳動脈(MCA)のmean flow velocity>200cm/secであった場合には直ちに治療を開始する。もしmean flow velocityが120から200の間であった場合は頭蓋外の内頚動脈のmean flowvelocityで割ってLindegaard ratioを計測し、血管攣縮と脳過灌流を鑑別する。なお、MCAのmean flow velocityが120を下回っていても神経学的所見から血管攣縮を疑う場合はCTや脳血管撮影を行う

◎私見
TCDは流行ってもいいと思うのだが、技術的にやや難しいのと患者さんによってはまったく見えないのが問題。ただ、難しいからとプローブをあてもしないのは違うと思う。当然ながら神経学的所見もしっかりとるべきで、TCDだけやればよいというわけではないことは強調すべき。

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