2015年7月12日日曜日

高ナトリウム血症は熱傷における死亡の危険因子

Dysnatremias and survival in adult burn patients: a retrospective analysis.
Stewart IJ, Morrow BD, Tilley MA, Snow BD, Gisler C, Kramer KW, Aden JK, Renz EM, Chung KK.
Am J Nephrol. 2013;37(1):59-64. PMID: 23327805


✔ 背景
 Na異常は多くの疾患群における予後不良因子であることが知られているが、熱傷患者における意義はあまり知られていない。
✔ 方法
 2003年から2008年に入院した熱傷患者を対象として後向きに検討した。性別、年齢、%TBSA、Ⅲ度熱傷範囲、気道熱傷の有無、ISS、AKINステージ、高ナトリウム血症(>150)、低ナトリウム血症(<130)を独立因子として検討した。
✔ 結果
 1,969人が対象となった。平均年齢は36.3歳で%TBSAの中央値は9%、ISSの中央値は5であった。高ナトリウム血症は9.9%に認められ、低ナトリウム血症は6.8%に認められた。死亡率はそれぞれ33.5%と13.8%であった。ナトリウム異常のない群の死亡率は4.3%であった。年齢、%TBSA、ISS、AKINステージは有意な死亡の予測因子であった。低ナトリウム血症ではなく高ナトリウム血症のみが死亡の予測因子(HR 2.0)であった。
✔ 結論
 熱傷患者では低ナトリウム血症ではなく高ナトリウム血症が死亡の独立した危険因子である。
死亡の危険因子(文献より引用)
◎ 私見
 対象としている患者の年齢が若く、軽症も含まれているので解釈には注意が必要だが、ナトリウムの恒常性を維持できなくなると死亡率が上昇するということ。確かに重症熱傷患者では高ナトリウム血症が認められるので、注目すべき点であることに異存はない。では、これを人為的に操作・治療すると予後が改善するかというとそんなことはなく、原因(例えば敗血症など)を治療しないとだめ…なはず。

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