2015年7月9日木曜日

熱傷患者の急性期輸液法の観察研究

New management strategy for fluid resuscitation: quantifying volume in the first 48 hours after burn injury.
Mitchell KB, Khalil E, Brennan A, Shao H, Rabbitts A, Leahy NE, Yurt RW, Gallagher JJ.
J Burn Care Res. 2013 Jan-Feb;34(1):196-202. PMID: 23292589


✔ 背景
 重症熱傷においてParklandの式に基づいた輸液量を大きく超える輸液がなされることが多いが(Fluid creep)、腹部コンパートメント症候群に代表されるような問題が生じることがある。本研究では24時間の蘇生プロトコルを評価し、次の24時間の輸液量を規定する公式を確立し、どのような患者で大量の補液が必要になるのかを明らかにする。
✔ 方法
 TBSA 15%以上の患者を対象とした。初期輸液はParklandの式を参考に開始し、1時間毎に目標とする尿量を達成するように調節した。最初の24時間の輸液が終わると、総投与量(ml/kg/%)を予測投与量(4ml/kg/%)で割って比率を計算した(観察/予測比)。次の24時間の輸液はプロトコルを用いずに投与し、その観察/予測比は実際の投与量を((25+%TBSA)×体表面積)×24+膠質液 0.3~0.5ml/kg/%+維持輸液(4-2-1法)で割って計算した。
✔ 結果
 40人の熱傷患者が対象となった。平均年齢 47歳、平均TBSA 29.9%、最初の24時間と次の24時間の輸液量は7.4ml/kg/%で観察/予測比は1.9であった。次の24時間の輸液の観察/予測比も1.9であった。プロトコル遵守率は34%であった。気管挿管、高齢、麻薬投与量は輸液量を増大させる要因であった。
 最初の24時間の平均輸液量は15,649mlで、次の24時間の平均輸液量は9,464mlであった。観察/予測比が2を超えると死亡率が10倍であった。
✔ 結論
 最初の24時間と次の24時間の輸液量には関連がある。観察/予測比を用いて評価できる。



◎ 私見
 熱傷に限らず、輸液はまだまだ分からない。何を、どれくらい量、どれくらいの速さで、どこまで投与するのか。理屈では分かっていても、そのとおりには絶対にいかないのが臨床。熱傷輸液もParklandから先になかなか進まないし。
 

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