2020年1月7日火曜日

輸液過剰は呼息制限を起こす

Volta CA, Dalla Corte F, Ragazzi R, Marangoni E, Fogagnolo A, Scaramuzzo G, Grieco DL, Alvisi V, Rizzuto C, Spadaro S.
Crit Care. 2019 Dec 5;23(1):395. PMID: 31806045

呼息制限(Expiratory flow limitation; EFL)はCOPD、ARDS、心不全、肺線維症、脊髄損傷、肥満などで認められ、呼吸器系のみならず循環動態にも悪影響を及ぼすことが知られているが、重症患者における頻度とリスク因子を明らかになっていない。
ICUで72時間以上人工呼吸管理を受けると予想された121名の患者を前向きに集積して解析した。EFLは吸気終末でPEEPを3 cmH2Oから0 cmH2Oに下げた際に呼気流速が増えるかどうかで判断した(呼気流速が増えなかったらEFLが存在するということ;PEEP test)。PEEP testの結果はNegative Expiratory Pressure test(NEP)で確認した。さらにIncremental PEEP trialを行い、EFLが解除されるPEEPを計測した。これらのテストは入院初日と3日目に行った。
人工呼吸管理開始時にEFLを認めたのは31%で、肥満(BMI高値)、心肺疾患の既往、呼吸苦スコア高値、内因性PEEP高値、気道抵抗高値などの特徴が認められた。3日目には17%の症例に新たにEFL(New onset EFL)を認めた。New onset EFLの危険因子は輸液過剰(3日目までの輸液バランス103.3 ml/kg vs 65.8 ml/kg)であった。EFLを認めた症例は人工呼吸管理期間やICU在室期間が長く、ICU死亡率も高かった。

◎私見
先日、まさしく輸液過剰に起因すると思われるEFLを経験した。輸液過剰の有害性に無頓着な人が多すぎる気がする。その気になれば様々な合併症が起きていることがわかるのに、輸液し過ぎなのかもという思考回路がなければ気づくことすらできない。
それはさておき、EFLは注目すべき所見だと思っている。かなりの頻度で起きていると思われるため、もう少し積極的に評価してみても良いかもしれない。

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